近年、歯科関連器材の開発のテンポが早まり、新しい製品が市場に投入されている。それらの製品情報については雑誌、新聞広告や業者が配布するパンフレットといった形で案内されているが、ニュートラルでバイアスのかかっていない製品情報を得るのは意外にも難しいものである。またカタログ上の数値と実際の臨床での使用感とが合致しないケースもままあり、一定の基準に基く評価が求められている。
アメリカでは、中立的な立場から器材を評価する機関としてDr.ChristensenによるCRA(Clinical Reseach Associates)、臨床家向けの年刊情報誌としてDr.MillerによるRealityがあるのに対し、わが国にはそうした情報発信の場は存在していないのが現状だ。
そこで今回、新しい試みとして、「器材の特性」や「使用法」のみならず、実際に臨床家が日常臨床で使用した使用感や意見を集約した結果を、定期的に情報として発信していく「LDAリサーチ」を「歯界展望」誌上で企画した、企画に参加するのは、実際にその製品を一定期間使用した30数名の歯科医であり、このような臨床家集団によるリサーチは、器材を購入する際の目安、あるいは診療の効率化や高速化に多きく寄与するだろう。ポジティブな評価結果は歯科医療の質を向上させることとなり、不幸にもネガティブであった場合でもクリアすべき問題を企業サイドに提起することとなり、いずれの評価も歯科界全体にとって有益な情報源となるはずである。
規模・資金面を始めとしてCRA、Realityに及ばぬ点は多い、しかし、地味な活動を積み上げ、将来的にはそれに匹敵するだけの信頼性と存在感のある取り組みを目指すことを目標としている。多くの読者の方々が、客観的な器材情報から、診療のさらなるレベルアップへのヒントを見出していただければ幸いと考える。
今後定期的に各社の注目の製品を順次評価し掲載していく予定である。
水野 純治 junji mizuno (LDA常任理事)