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平成20年度 第7回LDA学術講演会 > 講演抄録

“骨造成”REGENERATION 〜専門家が語る心構え〜

「今話題の新しい歯周組織再生療法 PRGFテクニックの紹介」

講師:佐藤 文昭 先生

スペインBTI(Biotechnology Institute)社、Dr. Eduardo Anutuaにより開発された、PRGF(Plasma Rich in Growth Factors)再生療法は 患者血液より血小板中の成長因子を無傷で抽出し、組織再生に応用する技法であり、現在欧州の整形外科・形成外科でも広く活用されている技法である。従来のPRP法では困難であった歯槽骨の再生が可能であり、かつ自己フィブリンメンブレンを有意義に使用する技法で、本年2月にUSAボストンで開催されたインプラント学会(ACADEMY OF OSSEOINTEGRATION)でも大きく取り上げられた、欧州だけでなくUSAでも話題の再生療法である。

大まかなPRGF技法手順は、

  1. 患者抹消静脈血より20cc採血する
  2. 専用遠心分離で一回遠心分離する
  3. トランスファーペットで3文画に分ける
  4. それぞれの文画のフィブリン濃度、血小板濃度の違いを考慮し高濃度の成長因子を含む血漿を液状のまま、もしくはゲル状のメンブレン状態にし、体内に戻し使用する

以上により、再生を加速させ歯槽骨を含めた歯周組織の再生を可能としている。

またこの際濃縮された白血球を除外することにより、血小板の活性化を妨げることがなく成長因子を確実に利用でき、さらに、炎症性の副作用を生じないという大きなメリットがある。

臨床において、保存不可能な歯牙を抜歯した場合、炎症状態等により治癒後の歯槽骨が大きく欠如し、抜歯部位にインプラントを植立することが大変困難になるケースが多い。このようなケースでは抜歯と同時に、PRGF技法により得られた成長因子に富む濃縮血小板ゲルを手術部位に充填することにより、骨誘導がなされ、早期に充分な骨量の歯槽骨を造成できるこが証明されている。

日常臨床において、

  1. 下顎臼歯部の歯周組織病変を永年 計画性のないまま放置し 通常の抜歯手術だけでは歯槽骨の高さ・幅を回復できず、下顎管迄の距離が著しく不足してしまう
  2. 上顎においても上顎洞への距離が短く、抜歯後ラテラルアプローチによるサイナスリフト手術をが必須となり、患者さんへの侵襲が大きくなってしまう
  3. 上顎前歯部において骨幅がインプラント幅より少なく フィクスチャー埋入時 通常の既製メンブレンを使用したGBRテクニックを用いても期待する骨量が獲得できない、 もしくは2次OPまでに多くの時間がかかるケース

など、多くの難症例に遭遇する。経験を積んだ外科医にしか対応できなくなるケースは多々見受けられる。

インプラント治療はもはや一般治療の選択肢となっており、多くの患者さんが希望している。しかし計画性のない抜歯を行うと以後の埋入手術が難しくなってしまい、また治療期間が大変長くなる。

一般的に様々なケースでは固定概念として安易に骨伝道補填材を抜歯部位に充填したり GBR用既製メンブレンを併用することをファーストチョイスとイメージしているのではないだろうか?しかしこれらの材料は、骨伝道能は有しても、骨誘導能はないことを理解せねばならない。また骨補填材は素材により確実に吸収されなければ、後々フィクスチャーを埋入した際にフィクスチャー表面に未吸収の材質がとどまり、その部はオステオインテグレートできえないと考えられる。

さて今回の学会のテーマである骨造成であるが、最近再生関連の講義では必ず、細胞・足場・成長因子の三要素がその主体であると説明される。

ポイントとして、臨床ではこれに「充分な血流供給」を大事な再生要素として考えなければならない。

PRGF技法では、

  1. インプラントホール形成時超低速50回転かつ無注水で歯槽骨を削除する。これにより細胞が保存されたままの自家骨を採取できる
  2. またフィブリン、フィブロネクチン、ビトロネクチンのような粘質血漿タンパク質が足場として利用される
  3. 成長因子は既述の通り無傷血小板を濃縮(通常値の約4倍)して分離利用取得できる
  4. 既製メンブレンを使用しないため 局所での充分な血流が得られる

PRGF技法はこれらの4つの条件を満足させており、現在もっとも確実、簡便 かつ経済的な骨造成方法であると考えられる。

(PRGFシステム日本協会はBTI社から認可され、2008年9月より、毎月研修会を開始しました。詳細は、www.prgf-japan.com迄お問い合わせください)


            

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